本書は柄谷行人(からたにこうじん)がその幼少期から現在までを語った回想録である。 そのような試みはこれまで一度もなかった。 本文で何度も本人の口から示されている通り、柄谷は回想を好まない。 それ故、柄谷の 朝の通勤時間帯は、多くの乗客で混み合う。 身動きが取りにくい車内では、意図せず他人の身体に触れたり、足がぶつかったりすることもある。 国土交通省が2026年7月に公表した「都市鉄道の混雑率調査」に 新人賞受賞やデビューは、作家人生のゴールではありません。 むしろ、デビュー後のキャリアに悩み、次の一冊や出版社との出会い、作品の方向性に迷う作家は少なくありません。 そうした時代に、作品だけでなく作家自身